咳が長引くのはなぜ?風邪ではない可能性も!医師が解説|前野町つばめクリニック|本蓮沼駅・ときわ台駅最寄りの内科・循環器内科

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咳が長引くのはなぜ?風邪ではない可能性も!医師が解説

咳が長引くのはなぜ?風邪ではない可能性も!医師が解説|前野町つばめクリニック|本蓮沼駅・ときわ台駅最寄りの内科・循環器内科

「夜になると咳がひどくなって眠れない…」
「風邪は治ったのに咳だけが残っている…」
「電車の中で咳を我慢するのがつらい…」

こうした悩みを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか?

咳は私たちの体にとって重要な防御反応ですが、その一方で日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

原因が分からないまま咳が続くと、不安やストレスも大きくなります。

この記事では、咳にまつわるさまざまな原因や受診のタイミング、症状の改善に向けたヒントを分かりやすく解説します。

当院では、今症状がある方はもちろん、この先の不安や、過ごし方に迷う方も、当院でゆっくりと話して、少しでも安心を得ていただけるよう気軽になんでも相談していただける雰囲気づくりを心がけております。

【板橋区】前野町つばめクリニック院長

そもそも咳って何?なんで出るの?

咳は、私たちの体が気道を守るための自然な防御反応です。具体的には、空気中のほこりや花粉、ウイルス、細菌、さらには煙や化学物質といった外部からの刺激が気道に侵入したとき、それを体外に排除しようとして咳が発生します。

咳のメカニズム

1)刺激を感知
 気道内の神経が異物や炎症を感知します。
2)脳への信号
 その刺激が脳へ伝わり、咳を起こす指令が送られます。
3)咳の発生
 胸の筋肉や横隔膜が動き、急激に空気を吐き出すことで異物を排除します。

この反応によって、気道が清潔に保たれ、呼吸がスムーズに行えるようになります。そして、咳の役割は「単なる生理的な反応」だけではありません。

例えば、急な咳が何日も続く場合、それは風邪や感染症が原因となることが多いです。一方、3週間以上続く慢性咳の場合は、喘息やアレルギー、逆流性食道炎といった病気が隠れていることもあります。

このように、咳は私たちの体の異常を知らせる重要なサインでもあるのです。

また、咳には2つの種類があります。

「乾いた咳(非生産性咳)」と「湿った咳(生産性咳)」です。

乾いた咳は痰が絡まない特徴があり、喉の炎症やアレルギーが原因となることが多いです。

一方で、湿った咳は痰を伴い、感染症や気道の炎症が原因です。

咳の種類によって原因が異なるため、症状をよく観察することが重要です。このように咳の症状も様々なものがありますので、次の段落で症状について詳しくみてみましょう。

咳の症状とは?

咳そのものは体を守るための正常な反応ですが、症状がどのように現れるかによって体の状態を知る手がかりになります。以下に、咳の代表的な症状を挙げてみましょう。

乾いた咳

空気中の刺激物や喉の炎症によって引き起こされます。

声がかすれるような感覚を伴うことがあり、しばしば喉の奥がイガイガする感じが続きます。

喘息やウイルス性の風邪が原因となることが一般的です。

湿った咳

痰が絡む咳で、気管支炎や肺炎が原因となることが多いです。

痰が黄色や緑色に変色している場合は細菌感染の可能性が高く、早めに医師の診察を受けるべきです。

夜間に悪化する咳

夜に咳がひどくなる場合、喘息や逆流性食道炎が考えられます。

横になることで胃酸が逆流しやすくなったり、気道が狭くなることで咳が誘発されます。

この症状が続く場合は、医師に相談することが重要です。

咳はときに、体全体に影響を及ぼすこともあります。

例えば、激しい咳が続くことで胸の痛みや、横隔膜の筋肉痛を感じることがあります。

また、長期間続く咳は睡眠を妨げ、疲労感や集中力の低下にもつながります。

こうした症状は一見すると軽度に思えるかもしれませんが、原因によっては重大な病気が隠れている可能性もあります。

咳の種類やタイミング、頻度によって考えられる原因は異なりますので、次の段落で詳しく解説します。

咳の原因とは

咳の原因は非常に多岐にわたります。代表的な原因をいくつか詳しく見ていきましょう。

感染症

風邪やインフルエンザなどのウイルス感染が最も一般的な咳の原因です。

これらの感染症は急性の咳を引き起こしますが、治癒後も数週間にわたって咳の症状が残ることがあります。

この場合、気道が完全に回復するまで咳が続くことが多いです。

アレルギーや喘息

花粉やハウスダスト、動物の毛などが原因で咳が誘発されることがあります。

喘息の場合、気道が狭くなり、呼吸困難やゼーゼーという喘鳴を伴うことが特徴です。

適切な治療を受けることで症状が軽減する場合が多いですが、放置すると悪化する可能性があります。

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流することで、刺激された気道が咳を引き起こします。

このタイプの咳は特に夜間に悪化することが多いです。

慢性的に続く場合、気管支や喉の炎症を引き起こし、さらに咳が悪化する悪循環に陥ることがあります。

重篤な病気

咳は、重大な病気のサインである場合もあります。以下にいくつか具体的な例を挙げてみましょう。

・肺炎

肺に感染が起こる病気で、高熱や息切れを伴うことが多いです。

特に高齢者や免疫力が低下している方では、重症化するリスクが高いため注意が必要です。

診断には胸部X線や血液検査が用いられ、早期の抗生物質治療が求められます。

・心不全

何かしらの原因で心臓の機能に不調をきたす状態です。痰を伴う長引く咳で発覚することがあります。

全身のむくみや、動悸、胸痛、寝る時に苦しくて横になれない(起座呼吸)の症状を伴うこともあります。命に関わることもあるので、気になる症状がありましたら必ずご相談ください。

・結核

結核菌による感染症で、慢性的な咳が特徴です。

痰に血が混じることがあり、夜間の発汗や体重減少を伴う場合もあります。

結核は治療を怠ると肺の損傷が進行し、命に関わることもあるため、専門医による迅速な治療が重要です。

・肺がん

慢性的な咳が続き、痰に血が混じる場合、肺がんの可能性も否定できません。

肺がんは早期には自覚症状が少ないことが多いため、長引く咳がある場合にはCTスキャンなどの精密検査が必要です。

特に喫煙者や喫煙歴がある方ではリスクが高くなります。

・慢性閉塞性肺疾患(COPD)

長期的な喫煙が主な原因となる病気で、咳と痰、息切れが主な症状です。

進行すると呼吸が非常に困難になり、日常生活にも大きな支障をきたします。

早期に禁煙し、吸入薬やリハビリテーション治療を行うことで症状の進行を抑えることが可能です。

こうした重篤な病気は、早期発見と治療が鍵を握ります。

特に、咳に加えて「痰に血が混じる」「息切れがひどい」「体重が急激に減少している」といった症状がある場合は、ただちに医療機関を受診することをおすすめします。

環境要因

喫煙や大気汚染、化学物質への曝露も咳を引き起こす原因です。

特に長期間喫煙をしている場合、慢性的な咳が発生するリスクが高まります。

また、仕事や生活環境で化学物質に触れる機会が多い場合、気道への慢性的な刺激が咳の原因となることがあります。

咳の予防

咳を予防するには、日常生活での注意が欠かせません。

適切な予防策を実践することで、咳のリスクを減らし、健康的な生活を送ることができます。以下のポイントを参考にしてみてください。

感染症対策を徹底する

手洗いやうがい、適切なマスクの使用は基本中の基本です。

外出先から帰宅した際には、手指の洗浄を徹底し、ウイルスや細菌の侵入を防ぎましょう。

特にインフルエンザの流行時期には、予防接種が有効です。

また、定期的に部屋を換気して空気を入れ替えることで、ウイルスやホコリの滞留を防ぎます。

喫煙をやめる

喫煙は気道に直接的なダメージを与え、慢性的な咳を引き起こすだけでなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺がんのリスクも高めます。

禁煙をすることで気道の炎症が軽減され、咳の予防に繋がります。

また、受動喫煙も健康に悪影響を及ぼします。家族や同居者のためにも、禁煙は大切な一歩です。

部屋の環境を整える

室内環境を快適に保つことも咳の予防には重要です。乾燥した空気は気道を刺激し、咳を引き起こしやすくなります。

加湿器を使って湿度を50~60%程度に保ち、気道の乾燥を防ぎましょう。

さらに、空気清浄機を活用してホコリやアレルゲンを取り除くことで、アレルギー性の咳を予防できます。

特に、花粉症の季節やペットを飼っている家庭では空気の清浄化が効果的です。

栄養バランスの取れた食事と適度な運動

免疫力を高めるためには、健康的な食生活が欠かせません。特にビタミンCを多く含む食品(柑橘類、キウイ、パプリカなど)や、亜鉛を含む食品(牡蠣、牛肉、ナッツなど)を積極的に摂取しましょう。

また、適度な運動は気道の働きを改善し、体の抵抗力を向上させます。ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動を習慣化すると良いでしょう

早めの医療機関の受診

原因が分からない咳や長期間続く咳がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。特に以下の症状を伴う場合は、すぐにクリニックを受診ください。

・血痰が出る
・呼吸困難や胸痛がある
・夜間に咳がひどくなる

早期診断と治療は、咳の原因となる病気の悪化を防ぐために欠かせません。

 

この記事の筆者

前野町つばめクリニック 院長 

佐々 達郎

東京大学医学部大学院医学系研究科 内科学 博士課程修了
日本内科学会 総合内科専門医
日本循環器学会 循環器専門医

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