胸のあたりに痛みや圧迫感を感じると、「心臓の病気ではないか」と不安になる方は少なくありません。
胸痛の原因はさまざまで、狭心症や心筋梗塞など命に関わる病気のこともあれば、筋肉や神経、胃の不調、ストレスによって起こることもあります。
胸痛の種類や原因を正しく見極めるためには、医師による詳しい問診や検査が欠かせません。
この記事では、胸痛の主な原因や危険なサイン、循環器内科で行う検査や治療について解説します。

「胸が痛いけれど様子を見てもいいのか」「どんなときに受診すべきか」と迷う方は、ぜひ参考になさってください。
当院では、今症状がある方はもちろん、この先の不安や、過ごし方に迷う方も、当院でゆっくりと話して、少しでも安心を得ていただけるよう気軽になんでも相談していただける雰囲気づくりを心がけております。
【板橋区】前野町つばめクリニック院長


胸痛とは?

胸痛の感じ方は人によってさまざま
「胸が痛い」といっても、その感じ方は人によって大きく異なります。
「ズキズキと刺すような痛み」「締めつけられるような圧迫感」「重苦しい痛み」「息を吸うと痛い」など、痛みの表現はさまざまです。
また、痛みが胸の中央だけでなく、左肩・背中・あご・みぞおちに広がることもあります。
これは、心臓や肺など胸部の臓器が共通の神経でつながっているためです。
そのため、必ずしも「胸の真ん中が痛い=心臓の病気」とは限りません。
胸痛が起こるメカニズム
胸の痛みは、胸部にある臓器・筋肉・神経・血管などのどこかに異常が生じているサインです。
たとえば、心臓に血液を送る冠動脈が狭くなると、酸素不足から胸が締めつけられるような痛み(狭心症)を感じます。
一方で、筋肉や肋間神経の炎症、消化器の逆流、肺や胸膜の病変などでも痛みが生じることがあります。


胸が痛くなる主な原因

胸の痛みの原因には、心臓・肺・筋肉・骨・神経・消化器・ストレスなど、さまざまなものがあります。
なかには緊急の対応が必要な病気もあるため、「一時的な痛みだから大丈夫」と自己判断せず、原因を正しく見極めることが大切です。
心臓の病気による胸痛(狭心症・心筋梗塞など)
胸痛の原因としてまず注意すべきなのが心臓の病気です。
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりすると、心筋が酸素不足になり、胸の中央部が締めつけられるような強い痛みや圧迫感が起こります。
代表的な病気には、
・狭心症:階段を上がる・早歩きをするなどの動作で痛みが出る
・心筋梗塞:安静にしていても強い痛みが続く(冷や汗・息切れ・吐き気を伴うことも)
があります。
これらは命に関わることがあるため、突然の強い胸痛や長く続く痛みがある場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
肺や胸膜の病気による胸痛(気胸・肺塞栓症など)
肺や胸膜(肺を包む膜)の異常が原因で胸が痛むこともあります。
たとえば気胸(ききょう)では、肺に穴が開き空気がもれることで、片側の胸に急な痛みや息苦しさが出ます。
また、肺塞栓症では血の塊(血栓)が肺の血管をふさぎ、突然の胸痛や呼吸困難、息切れが起こります。
こうした肺・胸膜の病気は呼吸と連動して痛みが強くなる特徴があり、放置すると重症化することがあるため、早めの受診が必要です。
筋肉や骨・神経による胸痛(肋間神経痛・筋肉痛など)
心臓や肺に異常がなくても、筋肉や骨・神経の炎症や緊張によって胸の痛みを感じることがあります。
代表的なのが肋間神経痛で、咳や体をひねる動作で痛みが強まるのが特徴です。
また、姿勢の悪さや肩こり、過度な運動による筋肉痛・筋膜炎でも胸の表面にチクチクとした痛みを感じることがあります。
消化器やストレスによる胸痛(逆流性食道炎・心因性など)
胸の奥が「焼けるように痛い」「食後に痛みが出る」という場合は、胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」が原因のことがあります。
また、過度な緊張やストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、心因性胸痛(ストレス性胸痛)を引き起こすこともあります。
これらは生命に関わることは少ないものの、放置すると症状が慢性化することがあります。
胸痛の背景には心臓以外の病気も多いため、「どこが原因か分からない」ときは内科・循環器内科での相談がおすすめです。


危険な胸痛の見分け方

胸の痛みの中には、すぐに医療機関を受診すべき危険な胸痛があります。
とくに心臓や肺の病気が関係している場合、放置すると命に関わることもあります。
ここでは、緊急受診が必要な胸痛の特徴と、注意すべきサインを紹介します。
救急受診が必要な胸痛の特徴
次のような胸の痛みがあるときは、迷わず救急外来を受診することが大切です。
・胸の中央部を締めつけられるように痛い、押さえつけられるように苦しい
・痛みが左肩・腕・背中・あごなどに広がる
・痛みが5分以上続く、または繰り返し起こる
・痛みに加えて冷や汗・吐き気・息切れ・めまいがある
・深呼吸や動作に関係なく痛みが強い
これらの症状は、狭心症・心筋梗塞・大動脈解離・肺塞栓症などの重篤な病気で見られることがあります。
特に「今までにない強い痛み」「冷や汗が出るような苦しさ」を感じた場合は、119番通報を含めた早急な対応が必要です。
放置してはいけない胸痛のサイン
次のような場合も、早めの受診をおすすめします。
・痛みが軽くても何日も続いている
・安静にしても痛みが引かない
・胸の痛みとともに息切れ・むくみ・動悸などの症状がある
・血圧・コレステロール・糖尿病などの生活習慣病がある
これらは、慢性的な動脈硬化や心不全、狭心症の初期段階が関係していることもあります。
「痛みが弱い=安全」とは限らず、早期に検査を受けることで重大な病気を防げるケースも多いのです。


胸痛の検査方法

胸が痛いとき、原因を正確に見極めるためには、症状の特徴や痛みの出方に応じた検査が必要です。
循環器内科では、心臓や血管の状態を中心に、必要に応じて肺や消化器の異常も確認します。
ここでは、胸痛の診断に用いられる代表的な検査をご紹介します。
心電図検査(ECG)
心電図検査は、胸や手足に電極をつけて心臓の電気的な動きを記録する検査です。
不整脈や狭心症、心筋梗塞などの異常があると、波形に特徴的な変化が現れます。
検査は数分で終わり、痛みもなく、胸痛の原因を調べる最初の基本的な検査として行われます。
症状が出ていない時にも、発作の有無を確認するために24時間心電図(ホルター心電図)を行うこともあります。
血液検査
血液検査では、心筋(心臓の筋肉)や炎症、貧血、甲状腺機能などの異常を確認します。
特に「トロポニン」という心筋の酵素が高い場合は、心筋梗塞など心臓のダメージが疑われます。
また、胸痛の原因が感染症や貧血、甲状腺ホルモンの異常による場合もあるため、血液検査は全身的な原因を見逃さないためにも重要な検査です。
心エコー(心臓超音波)検査
心エコー検査では、超音波で心臓の動きや弁の開閉、血流の状態を観察します。
心筋梗塞・心不全・弁膜症など、構造的な異常や心臓のポンプ機能の低下を詳しく確認できます。
放射線を使わないため体への負担が少なく、胸痛が続く・動悸や息切れを伴う方にも安全に実施できます。
画像検査(胸部レントゲン・CT検査など)
胸の痛みが心臓以外に原因がある場合、胸部レントゲンやCT検査で肺や胸膜の状態を確認します。
肺炎・気胸・肺塞栓症・大動脈解離など、命に関わる病気の早期発見に役立つ検査です。
必要に応じて、心臓CTや冠動脈CTを行い、動脈硬化や血管の狭窄の有無を詳しく調べることもあります。
これらの検査結果を総合的に判断し、胸痛の原因が「心臓・肺・筋肉・消化器のどこにあるのか」を見極めることで、最適な治療方針を立てます。


胸痛の治療と対処法

胸痛の治療は、原因となっている病気によって大きく異なります。
循環器内科では、心臓や血管の異常を中心に、必要に応じて他の臓器疾患も含めた総合的な治療を行います。
ここでは、主な原因別に行われる治療の一例をご紹介します。
心臓が原因の場合(狭心症・心筋梗塞など)
狭心症や心筋梗塞が原因の胸痛では、まず心臓への負担を減らし、血流を改善することが重要です。
治療には次のような方法があります。
・薬物療法:ニトログリセリン・抗血小板薬・血圧やコレステロールを下げる薬などで、血管の詰まりを防ぐ
・カテーテル治療(PCI):冠動脈の狭い部分を風船で広げ、ステントを入れて再び血流を確保する
・生活習慣の改善:禁煙・減塩・運動療法などで動脈硬化を予防
これらの治療により、再発予防と心機能の保護を目指します。
心臓が原因の胸痛は放置せず、早期の受診が何より重要です。
肺・胸膜が原因の場合(気胸・肺塞栓症など)
肺や胸膜の病気による胸痛は、呼吸や酸素供給に関わる重大な病気であることがあります。
・気胸:自然に改善しない場合は、胸に管を入れて空気を抜く「胸腔ドレナージ」を行う
・肺塞栓症:血栓を溶かす薬(抗凝固療法)や点滴治療を行う
どちらも早期の診断と入院治療が必要になることが多く、突然の痛みや息苦しさがある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
筋肉・骨・神経が原因の場合(肋間神経痛・筋肉痛など)
筋肉や神経の炎症が原因の胸痛では、安静と炎症を抑える治療が中心になります。
・鎮痛薬や湿布、ビタミン剤による症状の緩和
・ストレッチや姿勢改善、リハビリによる再発予防
痛みの程度に応じて、神経ブロック注射などを行うこともあります。
また、姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢が続く方は、日常生活の改善も効果的です。
消化器やストレスが原因の場合(逆流性食道炎・心因性など)
胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎では、胃酸の分泌を抑える薬(PPIなど)や生活習慣の見直しが行われます。
ストレスや不安が原因の心因性胸痛では、自律神経を整える薬やカウンセリングが有効な場合もあります。
心臓以外が原因でも、胸痛が続く場合は放置せず、まずは内科・循環器内科で相談し、必要に応じて専門科につなぐことが大切です。


胸が痛いときは何科を受診すべき?

胸が痛いとき、「何科に行けばいいのかわからない」と迷う方は多いでしょう。
胸痛は心臓・肺・筋肉・消化器・ストレスなど多くの原因で起こるため、まずは内科または循環器内科の受診がおすすめです。
内科と循環器内科の違い
内科では、風邪や胃腸炎、生活習慣病など全身の一般的な病気を診察します。
一方、循環器内科は、心臓・血管・血圧など“血の流れ”に関わる臓器を専門に診る診療科です。
胸の痛みが「心臓」「血圧」「動悸」「息切れ」などに関連している場合は、循環器内科を受診することで、より専門的な検査・診断が受けられます。
すぐに循環器内科を受診したほうがよいケース
次のような胸の痛みがある場合は、循環器内科での検査を早めに受けることをおすすめします。
・胸の中央部が締めつけられるように痛い・重苦しい
・痛みが左肩や背中に広がる
・動悸・息切れ・冷や汗・吐き気を伴う
・健診で高血圧・コレステロール・血糖値の異常を指摘されている
・家族に心臓病・脳卒中の既往がある
これらは心臓や血管の異常に関連していることがあり、早期の検査で重症化を防げる場合があります。
まずは迷わず相談を
胸痛の原因は一見似ていても、心臓や血管が関係するものは放置できないことが少なくありません。
「痛みが強くないから大丈夫」と思わず、早めの受診と正確な診断が安心への第一歩です。


前野町つばめクリニックでの対応

前野町つばめクリニックでは、循環器専門医が在籍し、胸痛や動悸、息切れなどの症状に幅広く対応しています。
「心臓や血管の病気が心配」「どこで検査を受ければいいかわからない」という方も安心してご相談ください。
循環器専門医による精密検査と診断
当院では、心電図・心エコー・レントゲン・血液検査などを組み合わせ、胸痛の原因を総合的に評価します。
必要に応じて連携医療機関でのCT検査や精密検査も速やかにご案内し、早期診断・早期治療を行います。
また、胸痛に加えて動悸・息切れ・むくみなどの症状がある場合にも、心臓・血管の状態をしっかり確認し、個々の患者さまに合わせた治療方針をご提案します。
生活習慣病や動脈硬化の早期発見にも対応
胸痛の背景には、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病が関係していることも少なくありません。
当院ではこれらの検査・治療も一貫して行い、動脈硬化の進行を予防しながら、再発を防ぐサポートをしています。
地域のかかりつけ医として、安心の診療体制
前野町つばめクリニックは、板橋区前野町を中心に地域の皆さまの健康を支えるかかりつけ医です。
「胸がチクチクする」「重い感じが続く」など、どんな小さな違和感でも構いません。
気になる胸の痛みがあるときは、どうぞお気軽にご相談ください。


前野町つばめクリニック

〒174-0063
東京都板橋区前野町3丁目5-8 プレジール志村1階
03-5918-8718














