足の「むくみ」は何科を受診?臓器の疾患から血栓まで原因は様々|前野町つばめクリニック|本蓮沼駅・ときわ台駅最寄りの内科・循環器内科

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足の「むくみ」は何科を受診?臓器の疾患から血栓まで原因は様々

足の「むくみ」は何科を受診?臓器の疾患から血栓まで原因は様々|前野町つばめクリニック|本蓮沼駅・ときわ台駅最寄りの内科・循環器内科

「急に靴が履きづらくなった」
「ズボンやベルト、腕時計などが締めづらくなった」
「顔面がパンパンに腫れた」

このように、様々なきっかけでむくみ(浮腫)に気がつく方がいます。

むくみは、急激な体重増加(1週間で2kg以上、1ヶ月で5kg以上など)、痛みや痺れ、皮膚の赤みなど、症状が伴う方がいる一方で、見た目以外全く無症状の方もいます。

一日中働いて夕方に浮腫んできて、朝起きたら治っている人もいれば、一日中変わらず浮腫んでいる人もいます。

このように、「むくみ」は個人差があり、原因や何科を受診すればいいのか分からずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この記事では「むくみ」について解説をしておりますので、むくみに悩んでいらっしゃる方は是非参考になさってください。

当院では、今症状がある方はもちろん、この先の不安や、過ごし方に迷う方も、当院でゆっくりと話して、少しでも安心を得ていただけるよう気軽になんでも相談していただける雰囲気づくりを心がけております。

前野町つばめクリニック院長

むくみ(浮腫み)とは?

人間の体は年齢で変化もしますが、成人だと55〜60%(新生児だと80%と言われます)が水分で構成され、体液と呼ばれます。

体液のうち60%は細胞外液として存在し、さらにそのうち25%が血管内、75%が間質(細胞と細胞の間といったイメージです)に分布しています。

間質に水分が増加した際に見られるのが浮腫、いわゆるむくみです。

足の浮腫、顔の浮腫、全身の浮腫など、浮腫の部位はさまざまで、年齢も若年者から高齢者までどんな方でも生じ得ます。

むくみ(浮腫み)の症状とは?

見た目だけで浮腫に気づいて(または他人に指摘され)受診される方、痛みや痺れによって浮腫に気づく方、体重増加を主訴に受診したところ、浮腫が発覚することもあります(成人の体表面積が約1.7平方メートルなので、目安として全身に1mmの浮腫が蓄積すると体重が約1.7kg増加する計算です)。

浮腫の部位も両足、片足、脛(すね)、足首、足の甲、腕、手の甲、体幹部、首、顔面、全身と人によってそれぞれです。

発症のスピードも、数ヶ月でじわじわと増えてくる人、ある日突然ゾウの足みたいになったりと様々です。

触った感じも指で押した跡が残る柔らかいものや、パンパンに張って凹まないものもあります。

むくみ(浮腫み)の原因とは?

上のように浮腫の一言で言っても、症状は様々であり、一人ひとりの症状を聞きながら、原因を推測しながら、検査と治療の計画を考えていきます。

心臓・腎臓・肝臓・甲状腺といった臓器の異常で浮腫む方もいますし、エコノミー症候群で知られる静脈血栓症や、リンパ浮腫、鬱滞性皮膚炎といった体液の灌流異常で生じる方もいます。

丹毒や蜂窩織炎、EBウイルスといった感染症が原因となる。月経前症候群や更年期症候群による浮腫も健康な女性によく見られます。低栄養による浮腫は食の細くなった高齢の方や、消化管の疾患で栄養の吸収に障害が生じた方で起こり得ます。

このように浮腫の原因は多岐にわたっており、中には放置すると命に関わることもあります。

一方で例外はありますが、一日中立ちっぱなしで、夕方にピークを生じ、翌朝起きると消失している足の浮腫は生理的な浮腫で、特に問題にならないことが多いです。

むくみ(浮腫み)の原因①:心不全、心負荷

心臓は全身に血液を送り出し(動脈)、回収する(静脈)ポンプの役割を担っています。何かしらの原因で心臓のポンプとしての機能に異常が生じ、様々な症状を生じるのが心不全の状態です。

全身の浮腫、体重増加で病院を受診し、心不全が発覚することも少なくありません。

心不全にはゆっくりと緩徐に進行するものと、急激に発症する急性心不全があります。特に急性心不全には急性心筋梗塞や不整脈など命に関わる疾患が隠れていることが往々にしてあります。

糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方だと、胸痛などの症状に気が付きにくいことがあるので、見た目でわかる浮腫に気がついたり、指摘された時は放置せずに医療機関を受診しましょう。

むくみ(浮腫み)の原因②:腎不全

腎臓は全身の老廃物や毒素を余分な水分と一緒にして尿として体外に排出する機能を持ちます。

腎臓の機能不全である腎不全においては、余分な水分が出せずに体内に蓄積するので全身の浮腫を生じます。

高血圧や糖尿病を基礎疾患にして、緩徐に発症することが多いですが、心不全に合併して急激に生じることもあります。

塩分の摂りすぎで生じる浮腫も腎不全を伴っていることがあります。

むくみ(浮腫み)の原因③:静脈血栓症

エコノミー症候群として知られる疾患で、基礎疾患のない健康な方でも環境によって生じます。

飛行機フライトなど、特に座位など窮屈な姿勢で、長時間動かずにいると、下肢の静脈内で血液が滞り、固まり、血栓を生じます。血栓が静脈の流れを遮るので、片足の浮腫として生じることが典型です。

下肢の血栓が流され、肺の静脈に詰まると肺静脈塞栓症を生じ、命に関わることがあります。

飛行機に限らず、長時間運転される職業の方や、デスクワークで座りっぱなしの方も注意が必要です。

こまめな休憩や立ち上がってストレッチすることで発症のリスクを軽減できます。

むくみ(浮腫み)の原因④:薬剤性

あらゆる薬の副作用で浮腫が生じる可能性があります。

特に新しく薬を開始、追加または減量した直後の浮腫は薬剤による影響の可能性が高いです。

薬手帳は必ず毎回記入し、浮腫の診察を受ける際は薬歴情報のあると診断の大きな助けとなります。

また、一部の高血圧や糖尿病の薬やロキソニンを代表とする解熱鎮痛剤は浮腫を来しやすいので、他院でもらっている薬や市販薬も診察の際には必ずお伝えください。

むくみ(浮腫み)の原因⑤:その他

特に基礎疾患や既往のない健康な女性が浮腫を主訴に受診されることが少なくありません。

女性に多い甲状腺疾患や鉄欠乏貧血で浮腫を生じることがあります。

また、月経前症候群や更年期症候群で生じる方も多く、診断が難しいこともあるのですが、漢方薬やプラセンタ注射など、それらの状態に効果のある薬を投薬することで、浮腫の改善を認めることがあります(診断的治療と言います)。

むくみ(浮腫み)の予防

上記の疾患による浮腫を否定した上でのお話ですが、生理的な浮腫を予防するためには塩分過多や運動不足に注意して規則正しい生活を送ることが重要と言えます。

むくみ(浮腫み)の診断

まずは病歴(発症日時、時間経過、日内変動、拡大傾向、体重変化など)を詳しく聞かせてもらいます。

続いて浮腫んだ部位の診察を行います。痛みや痺れの症状や、熱感や色調変化なども重要な所見です。指で押して凹むか、凹んだ痕がどのくらいの時間で元に戻るのかも診断のヒントになることがあります。

診察時には浮腫が一時的に軽減していることもありますので、症状はなるべく細かくお伝えください。

浮腫以外の部位の診察(胸腹部聴診や頸部の触診など)をさせていただくこともあります。

その上で必要な検査(血液検査、レントゲン、心電図、超音波検査)などを行い、診断を試みます。

むくみ(浮腫み)の治療方法

診断がついた際はその疾患それぞれに対する治療法を提供します。

必要によっては高次医療機関を紹介させていただきます。

診断がはっきりしないことも往々にしてあります。前述のように月経前症候群や更年期症候群が疑わしい際は、投薬による診断的治療を提案させていただくこともあります。

それでも診断がつかない可能性も十分にあります。

弾性ストッキング(着圧ソックス)やマッサージなどは、静脈血栓症などの増悪の恐れがある疾患を除いては、お勧めさせていただくこともあります。

下肢挙上で眠ることや、減塩を心がけることは、危険が少なく、効果を得られることも多いので、多くの方にお伝えしています。

前野町つばめクリニックの治療方針

浮腫はあくまで、隠れた疾患の一部の症状であり、背景にもっと重大な問題が隠れていることもあります。

特に循環器科の心臓疾患による浮腫は迅速な対応を必要とすることも多く、浮腫に限らず、随伴するあらゆる症状の確認が重要です。体重変化や食生活(健康のために行なっている習慣、サプリメントなども)、運動・飲酒・喫煙の習慣なども重要な情報です。

心臓疾患はもちろん、当院におきましてはあらゆる疾患による浮腫の診療を行っています。

浮腫かどうかわからないという方もお気軽に相談いただけると幸いです。

この記事の筆者

前野町つばめクリニック 院長 

佐々 達郎

東京大学医学部大学院医学系研究科 内科学 博士課程修了
日本内科学会 総合内科専門医
日本循環器学会 循環器専門医

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