「坂道や階段を登ったら、息切れしてしまった」
「いつものように散歩していたら、突然息苦しくなった」
「周りの人と同じ速さで歩くことがしんどい」
このような経験をしたことはありませんか?普段あまり運動する習慣がないのに突然体を動かしたりして息切れを感じたり、いつものように運動していたのに急に息切れを感じたり、息切れをするタイミングは人によって様々です。
息切れの感覚は言葉で的確に表現することも難しく、人によって感じた方も異なり、以下のように表現されることもあります。
・息が苦しい
・十分に息を吐けない
・呼吸が重い
・胸がドキドキする
・胸が締め付けられる、圧迫される
このような症状を感じたことがある方は、この記事で息切れについて、原因や予防について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
当院では、今症状がある方はもちろん、この先の不安や、過ごし方に迷う方も、当院でゆっくりと話して、少しでも安心を得ていただけるよう気軽になんでも相談していただける雰囲気づくりを心がけております。 前野町つばめクリニック院長 |
息切れとは?
呼吸をするのに不快感を感じたり、一生懸命にならなければ呼吸ができないことを「息切れ」といい、医学用語では「呼吸困難」と呼ばれます。
疾患によっては命に関わることもあるので、息切れを感じるようになってしまったら、早めにクリニックを受診しましょう。
息切れの症状とは?
先ほども息切れの症状には少し触れましたが、具体的な症状を改めてまとめて紹介します。
・息苦しい、呼吸が浅くなる、息を吐けない
・空気が薄く感じる、酸素が足りない
・胸がドキドキする、締め付けられる感じがする、動悸が激しい
・咳、痰、喘鳴(ゼーゼー音)がある
症状によって、原因や疑われる病気も異なりますので、次項で、息切れの原因について詳しく見てみましょう。
息切れの原因とは?
息切れの原因は大きく下の3つに分類されます。
①心臓疾患(心不全、急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、弁膜症、心膜疾患など)
②肺・肺血管疾患(肺炎、喘息、アナフィラキシーショック、肺気腫、COPD、気道異物・腫瘍、肺塞栓、肺高血圧、肺胞出血、悪性腫瘍など)
③その他
①と②を③と明確に区別しているのは、やはり命に関わる重篤な疾患が隠れている可能性があるからで、クリニックでの診察でも①②の可能性は常に注意しながら行なっています。次に①から③についてそれぞれ、詳しく原因と診断と治療について書いていきます。
①心臓疾患
先天性疾患のない健康な若い人が罹患することは少ないですが、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病、喫煙歴、肥満など生活習慣病を抱える人は、加齢とともに徐々に心臓疾患発症のリスクが高まります。
症状は疾患・個人によって多岐にわたり、息切れ以外の全身症状を伴うことも多いです。症状の経過と身体所見が診断のポイントになるので、問診と診察は非常に重要と考えています。
見落としがあると大変ですので、心電図やレントゲン、心電図やレントゲン、血液検査、心エコーなどの検査を行い、心臓の状態を詳細に確認します。
これにより、心筋梗塞や心不全、弁膜症などの早期発見が可能になります。また、必要に応じて運動負荷検査やホルター心電図といった追加の検査を行うことで、より深く心臓機能を評価し、適切な治療につなげていくことが重要です。
②肺・肺血管疾患
風邪を拗らせたと思っていたら、重篤な肺炎になっているということは、小児からご高齢の方までどんな方でもあり得る状況です。風邪をきっかけに、喘息や咳喘息の症状が増悪することもままあります。高次医療機関に搬送して入院が必要かどうかの判断はクリニックでも可能です。新型コロナウイルス・インフルエンザは今後も定期的な流行が予測されますし、マイコプラズマやレジオネラ肺炎など、さまざまな感染症が流行するリスクのある昨今ですので、風邪の療養中でも、心配な状態に陥った際は、遠慮なくクリニックにご相談いただければと存じます。
喘息やCOPD、肺癌などの基礎疾患がわかっている方は勿論、息切れをきっかけに疾患の診断に至る方も多いので、気になる息切れ症状は放置せずに、ご相談ください。
症状の経過や増悪の誘因、随伴症状もそうですが、飛行機の長時間座位のエピソードや動植物との接触歴が診断の助けになることも多いので、問診はなるべく詳しく状況をお尋ねすることになります。
③その他
貧血(女性に多い鉄欠乏性貧血や、鎮痛剤の常用で胃炎からの微出血から貧血に至ることは、日常診療でもよく見受けます。)やヘモグロビン異常などの血液疾患、甲状腺機能障害や肥満などの代謝性疾患、重症筋無力症などの神経筋疾患、腹水や逆流性食道炎などの消化器疾患、不安障害やパニック障害などの精神疾患などで息切れ症状を呈することもあります。基礎疾患や健診での異常指摘歴が診断の助けになることも多いので、受診の際は申告をお願いします。
息切れの診断
患者さんの基礎疾患・既往歴、常用薬、アレルギー歴、周囲流行歴・接触歴などの問診情報と、症状の経過、身体診察による身体所見である程度診断への方向性がつくことが大部分です。その上で必要な検査を行わせていただき、確定診断に至ります。
当院ではレントゲン、心電図、24時間ホルター心電図、呼吸機能検査、超音波検査(心臓・血管・腹部)、血液・尿検査、各種迅速抗原検査、PCR検査などが可能です。CTやMRIなどの検査が必要な際は、近隣の病院にて検査を依頼することも可能です。
息切れの治療方法
まずは入院や緊急手術の適応の可能性がある方は、速やかに高次医療機関に搬送することを最優先に行います。特に急性心筋梗塞などの心臓疾患は、数分の差で予後が変わる可能性もあるので、少しでも危険な兆候を確認した際は、クリニック内での検査を遂行するよりも、搬送を優先します。
クリニックでの治療は、疾患に応じた投薬(内服、吸入、点滴、注射など)治療が中心となります。どんな薬でも、新しく使い始める時には治療効果と副作用の2面を慎重に観察する必要があります。クリニックは高次医療機関の外来と比べ、待ち時間が少なく、アクセスも良いことが多いので、こまめな経過観察を行うのに強みがあるといえます。
前野町つばめクリニックの治療方針
息切れの診療は正確さと丁寧さはもちろん、時にスピードも重要です。
患者さんの症状もさまざまで、「これって息切れなのかな」という人から「尋常じゃない、とても我慢できない」という方まで、息切れの一言では表せない主訴で来院される方が多くいらっしゃいます。
前野町つばめクリニックは、地域の皆様の一番身近な医療の入り口でありたいと考えています。どんな症状でも、不安を感じた時は遠慮せずにご相談ください。一人ひとりの体の状態に合わせて、患者さんの不安を少しでも和らげられるような安全な診療を心がけています。近くにあってよかったと言ってもらえるよう、誠心誠意地域の皆さんの暮らしに密着して参ります。近くて安心な前野町燕クリニックを今後ともよろしくお願いします。
この記事の筆者 |
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前野町つばめクリニック 院長 佐々 達郎 東京大学医学部大学院医学系研究科 内科学 博士課程修了 |