高血圧

高血圧とは?

高血圧とは、心臓から全身へ血液を送り出す際の、血管にかかる圧力(血圧)が、正常な範囲を超えて高い状態を指します。

血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときの「収縮期血圧(上の血圧)」と、心臓が拡張して血液を取り込むときの「拡張期血圧(下の血圧)」の二つの数値で表されます。健康な血圧は体の状態に応じて適切にコントロールされていますが、高血圧の状態が長く続くと、血管に持続的な負担がかかり、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。

高血圧の最も恐ろしい点は、自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに病状が進行してしまうことです。このため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれています。放置していると、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった、命に関わる重大な病気を引き起こすことがあります。


高血圧のチェックリスト~こんな方は高血圧に注意~

高血圧は自覚症状が少ないため、ご自身で気づくことが難しい病気です。 しかし、日常生活の中に、高血圧になりやすい要因が隠されていることがあります。 以下の項目に当てはまる方は、血圧が高くなっている可能性がありますので、注意が必要です。

☑味の濃いものが好きで、外食や加工食品が多い
☑喫煙の習慣がある
☑お酒をたくさん飲む
☑体重が増加傾向にある、または肥満気味である
☑運動不足を感じている
☑ストレスを感じやすい、または睡眠不足が続いている
☑家族に高血圧の方がいる

これらの項目に一つでも当てはまる方は、一度当院までご相談ください。


高血圧の症状

高血圧には、初期段階ではこれといった自覚症状がほとんどありません。

しかし、血圧が非常に高い状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。

・頭痛やめまい
・肩や首のこり
・耳鳴り
・動悸や息切れ

これらの症状は、高血圧以外の原因で起こることも多いため、ご自身だけで判断するのは困難です。

「たかが肩こり」と安易に考えず、少しでも気になる症状があれば、一度医療機関でのご相談をおすすめします。


高血圧の原因

高血圧の主な原因は、大きく二つに分けられます。

  1. 本態性高血圧:特定の原因を特定できないもの
  2. 二次性高血圧:他の病気が原因で起こるもの

高血圧患者さんの約90%が、遺伝的な体質に加えて、以下のような生活習慣が複雑に絡み合って発症する本態性高血圧です。

・食生活:塩分を多く含む食事、野菜不足、脂質の摂りすぎ
・飲酒・喫煙:過度な飲酒や喫煙習慣
・運動不足:体を動かす機会が少ない生活
・ストレス:精神的なストレスや睡眠不足
・肥満:体重の増加

一方、二次性高血圧は、腎臓病や内分泌系の病気など、他の病気が原因で血圧が上昇するものです。これらの原因となる病気を治療することで、高血圧も改善されることがあります。


高血圧の診断基準

高血圧の診断は、血圧測定によって行われます。日本高血圧学会のガイドラインでは、測定する場所によって診断基準が異なります。

場所収縮期血圧(上の血圧)拡張期血圧(下の血圧)
診察室140 mmHg以上90 mmHg以上
自宅135 mmHg以上85 mmHg以上

ご自宅で測定した血圧が、上記の基準を超える状態が続く場合、高血圧と診断されます。

緊張で血圧が高く出てしまう「白衣高血圧」の場合もあるため、ご自宅での血圧測定記録は、正確な診断に非常に役立ちます。

より正確な診断と治療のために、ご来院前にご自宅での血圧測定をお願いしております。毎日の家庭血圧の記録は、診察時に非常に重要な情報となります。


前野町つばめクリニックでの高血圧治療

高血圧は自覚症状が少ない病気ですが、放置すると心臓病や脳卒中などの重篤な病気につながる可能性があります。

当院では、循環器内科専門医として、患者さま一人ひとりに合わせた丁寧な治療を行い、合併症の予防に努めます。

高血圧の治療は、血圧を正常な値にコントロールし、将来の合併症を防ぐことを目的とします。患者さんの状態や合併症の有無に応じて、以下の治療法を組み合わせて行います。

1. 生活習慣の改善

高血圧と診断されたら、まず生活習慣の見直しが重要です。薬物療法を行う場合でも、並行して続けることでより効果が高まります。

  • 減塩:1日の塩分摂取量を6g未満に抑える
  • 適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分以上
  • 適正体重の維持:肥満の解消
  • 禁煙・節酒:喫煙は血圧を上げ、過度な飲酒も血圧上昇の原因になります

当院では、患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせた、無理のない改善策を一緒に考え、サポートします。

2. 薬物療法

生活習慣の改善だけでは血圧が十分に下がらない場合や、血圧が著しく高い場合は、薬物療法を開始します。高血圧の治療薬には様々な種類があり、患者さんの状態や体質に合わせて最適なものを選びます。

「一度薬を飲み始めたらずっとやめられないのでは?」と不安に思われる方もいらっしゃいますが、生活習慣が改善され、血圧が安定すれば、医師の判断で薬の量を減らしたり、中止したりすることも可能です。